なぜガールズバーが人気なのか、理由が判明
H.N/涼介
営業職で転勤が多い僕は大阪や東京、九州などへ飛ばされていました。給料は悪くないのと、思い切って退職する度胸もなくて流れるままに仕事に取り組んでいたのですが、最近ようやく転勤がなくなり落ち着いてきたところです。
東京が3年という長い期間で一番きつかった……。街並みは大雑踏で圧迫感があり、大都会にもかかわらず孤独感にさいなまれるというのが印象としてあります。
転勤族というのは恋愛も安定しないため、メンタルケアは必要不可欠。僕はチヤホヤされないタイプだったので恋愛には遠ざかっていますが、周囲はやはり癒しのために夜蝶がいる店に週末は向かっていたものです。スナックやキャバクラなどがメインで風俗関係は少なめ、心が満たされないという理由からですね。
僕も上司からよく夜のお店に連れて行ってもらうことがありましたが、東京のキャバはどうも自分には合っていませんでした。No.1になるための情熱がたぎりすぎているのでしょうか。とにかく高額ドリンクをおねだりしてくる形で、上司のおごりとはいえ会計額が膨らむと、僕も少し出すようにしていたのでそこに癒しはありませんでした。
そうしていま地元で落ち着いてきた僕は、久々に戻った山口で環境変化に気がつきます。周りはすでに結婚をして子どもがおり、僕が連絡をしても育児を理由に遊ぶのを断られるのも当たり前になりました。
そのため週末はTVドラマや映画で恋愛ものを見ながら、気を紛らわす日々。しかしそんな日々が続くと、人肌を感じることが皆無の生活になってしまったのです。
そんなライフスタイルで寂しさが蓄積していく中、同じ転勤を数回こなした後輩からガールズバーがいまアツいという話を耳にしました。仔細を聞き、評価できるところも多く興味も覚えます。
スナックだと1対複数、ガールズバーだと1対1として話せることも多く、年寄客が少なめという点に惹かれたのです。
もちろん自分でも調べましたが、評判に不安要素なしということで早速行ってみることにしました。仕事が営業なので、入店に緊張感は一切なし。
入ると、こぢんまりとはしていますがカジュアルな雰囲気で、居心地も悪くなさそう。週末だから客は当然いましたが、カウンターを埋め尽くすほど混んではおらず窮屈さもありません。
席に案内されたあとしばし待っていると、僕についてくれるIさんが登場。彼女は24歳で、僕よりも6つ年下。ポニーテールにパーマがかかったような、お洒落さが漂う美女です。
「柄にもなく1人で来てしまったよ」と言うと「ガルバはお一人様も多いから、全然気にしなくて大丈夫だよ」と返してくれました。続けて「屈託のない笑顔、美形、これはモテるだろうね」と持ち上げるつもりはなかったものの激褒めをします。営業というのは伝えましたが、トーク慣れしていてモテそうと言われたので、そこだけは否定。
酒がいつもより美味く、会話は途切れませんでしたが、指名制じゃないのでヘルプ的な感じでIさんは他の客のもとへ。仕方がないことなのですが、所在なくタバコを吸っているだけで、すぐに彼女はカムバック。
引き続いての会話では、Iさんとの共通点が見つかり嬉しい感情に包まれます。僕は4年間恋人がいませんが、彼女はなんと5年間も彼氏がいないという点です。もちろんすぐには信じられませんでしたが、夜の仕事ゆえに欲が全面に出た男性からの声掛けが多く、恋愛になると人間不信になってしまうのだとか。
つまり知り合っても深い関係にならない点が共通していたのですが、恋話だけで時間終了になってしまいました。ただ現在の会計を聞くと5,000円にも満たない金額だったので、延長するかを聞かれてすぐに同意しました。
また、当然延長だよねという強めの押しがあると苦手なのですが、キャバのように営業行為をしてこないので最高の居心地です。そして、僕からIさんにガールズドリンクを入れてあげました。
「どうして、ガールズドリンクを一言も欲しいって言わなかったのか、聞いていい?」と質問すると、おねだりをすると嫌味を言う客がいるから、完全に聞くのをやめたとのことです。
もう非の打ち所がないわけですが、帰り道にふと思いました。すでに再度行きたい感情が芽生えており、いわゆるハマる男の気持ちもわかったわけです。
とはいえ、僕にとってはやっと見つけたオアシスなので、しばらくは通い続けようと考えていますけどね。