バニーガールコスで眼福、癒しのガールズバー
H.N/ラザニア
大学を1年目で中退してしまった俺は、安定感とは程遠いフリーター生活を送る日々。工場の仕分け作業や宅配ピザのデリバリーなどいろいろやった。そして今はコンビニのアルバイトに定着したが、この生活は意外とストレスがない。
昼間は多少忙しいことから大変と思う時もあったが、深夜帯に切り替えてもらってからは、のんびりと仕事をして稼げるようになった。
一人暮らしではなく実家なので、コンビニであれども貯金ができてしまう状態。なお、コンビニは賞味期限切れの食い物を持ち帰られるメリットがあり、食費まで浮かせやすい。
ただ、客層は高級スーパーでもないからガラが悪い客も来る。当然ストレスにはなるが、不思議にもコンビニの深夜には家出少女?というほど遊び呆けている子達も多い。駐車場の清掃で回っている時、たむろしている一団を見るが、たまに露出の多い子は胸の隙間から乳首が見えることもある。
ただ、そんな子達を見ていると、俺は最近遊べてないなあと自分に女っ気がないことを痛感する。フリーターだからやはりモテないし、彼女も居ない。女性従業員は若ければ彼氏持ちで、あとはおばちゃんばかりなので出会いも皆無。
そして深夜に酒に酔ってくる客を見ていると、俺も飲みに行きたくなった。友人は正社員なので、就職しろと言われると少しわずらわしいので1人で楽しめるところをサーチする。
BARでしっとりと飲むには小僧過ぎるし、居酒屋なんて1人で行く所じゃない。ただ、そんな俺でも良さそうに見えたのがガールズバー。
1人で飲みに来る男も多いという情報を見たのと、20代前半の女の子が多いらしいので、俺の希望にピッタリだ。そしてゆったりした感じのお店を見つけて行ってみたが、店内はカジュアルな雰囲気で好感触。
L字型のカウンター席にソファーがあるが、平日だからなのか客は俺と1人で来ている30代くらいの男の合計2人のみ。着席するとすぐに女の子が奥から出てきて、対面で向かい合うとやや緊張が走る。
ショートカットが似合う茶髪の子、Iさんは俺より1つ上の21歳で、ハーフ系の雰囲気なのだがとても可愛い。「ガールズバーは初めてですか?」と、いきなり見透かされたようで驚いたが正直に返答した。
口もなかなか回らない中、とりあえず飲み放題のビールをオーダー。やはり酒が入ると緊張もほぐれてきて、会話もスラスラとできるようになった。
そこで仕事の話になったわけだがIさんは「まだ若いし、私だって正社員じゃないんだからバイトで劣等感は感じなくていいと思うよ」と俺を励ましてくれた。
お世辞だとわかっていても、理解してくれると自己肯定感も上がってしまうもの。
そしてガールズバーでは、ドリンクを女の子に入れてあげると喜ぶという情報もキャッチしていたので「お姉さんも何か飲む?」と言いオーダーしてあげた。
「私から一言も言っていないのに、気配りが上手でお兄さん素敵」と喜ばれる。
そこで「いや、ネットでドリンク入れたら良いって見たから」とダイレクトに言ったら「それは言わなくていいの(苦笑)」というお言葉が。
酒が入っているものの、こういう空気を読まないところもモテない要素だったのかなと、意外と客観視ができている事に気がついた。
なお、他のお店はわからないが、50分の飲み放題込みで2,500円なのだから想定外の割安感がある。
楽しい時間は当然すぐに過ぎるのはわかっていたのと、リーズナブルな価格から延長の打診には即座に了承した。
他の客は延長もせず早々に帰っていき、客も少なかったため後半ではカラオケも2曲ほど入れて楽しむ。
Iさんの歌声も聞きたくなったのでリクエストしたら、ラブソングのバラードを歌ってくれた。
女の子とカラオケなんて行った記憶がないので、今宵は別世界で素敵なひと時だ、と束の間の喜びをかみしめる。
「次に来た時はデュエットしようよ」と言われたので、何か最近の男女デュオの曲を覚えておかなくちゃいけないなと思った。
しかし、本当に収穫があった日だ。酒の力があったのは否めないが、少し女性と話す事に自信がついた気がする。
なぜかと言うと俺の悪い部分を指摘してくれた事と、あとは美女と正面からたっぷり話し続けたのもあるだろうか。
自分でも驚いているのだがその日以降、レジで美人が来ても正面を見て接客ができるようになったのだ。
色々とプラス思考にもなれそうなのと、びっくりするほど安いのでしばらく通い続けてみようかなとも思う。ちなみにキャバクラは調べてないけど、絶対キャバよりも安いだろうな。