大失恋で引きこもりの僕はガールズバーで変われた
H.N/紙装甲
大学に在学中、僕は同じサークルの子と出会い3年間もの大恋愛をしていました。恋愛経験は、大学に入る前に1人なので、合計2人という一般的には少なめの数です。つまり恋愛上手ではないため、3年も付き合えた元カノとの時間は幸せでした。
しかし、元カノは卒業後の進路に海外留学を選び、渡米してしまったのです。アメリカンドリームを選び、捨てられた形でしょうか。
振り返ってみると、外タレがカッコいいと、海外ドラマを一緒に見ていた記憶がありました。僕は身長が168cmの痩せ型、外国のアクション映画俳優と比べると、貧弱なものです。
以来、自分には魅力がないのかと、別れを引きずってしまうようになりました。情けない話、卒業して定職に就かず、短期のバイトを繰り返す日々を送っていました。
例えば交通量調査の短期バイト、あとは百貨店内の飲食店の短期募集などなど。仕事中でも元カノの事を思い出し、何もしたくない日々があったので、ふさぎ込む時間も必要だったのです。
仕事がない日は完全に引きこもるときもあれば、お一人さんでも行けるカフェに行くなど、人との交わりがもはやありません。数少ない友人も当然、僕に愛想を尽かしましたが、1人の親友だけは違いました。
「お前には絶対出会いが必要だよ」としきりに言い、「キャバクラでも行くか」と言われましたが、僕には絶対に合わないのがわかります。YouTubeチャンネルはよく見ますが、カリスマキャバ嬢みたいなのは、スマホ越しに見るくらいで良いという結論です。貢がれてなんぼという世界なのが、固定観念としてあるからといえるでしょうね。
一方のマッチングアプリは自分から動くのが前提なので、話しかけてきてくれる、敷居がキャバのように高くないと行けません。ただ、見かねた親友は僕の軌道修正を図りたいと思ってくれて、「なら、ハードルが低いガールズバーへ連れて行ってやる」と誘ってくれたのです。
そこから僕の人生が変わるのですが、まず想定外だったのが、YouTubeで見たキャバとは良い意味で違う世界でした。雰囲気がカジュアルで、きらびやかさがないので、すっと打ち解けられるような空間です。
「今日は仲良しのお二人さんで来たのですか?」と、席についた後すぐに声掛けをしてもらえました。カウンター対面についたお姉さんは、僕より3つ下の美少女タイプ、Rさん。ボーイッシュなショートヘアが似合う、明るいお姉さんです。
親友が「いやあ、こいつは元カノに未練があって、ずっと引きずっているのよ」と包み隠さず言うものだから「はっきり言い過ぎだよ(笑)」とジェスチャーも加えてバツ印を取りました。また詳細を聞かれ、悩みましたがお酒のパワーを借りたせいか打ち明けてみることに。
Rさんはどうやら僕の性質を見抜いたようで「新しい恋をするため積極性も大事だけど、自分を過小評価するところを直していくといいかも」という、新しい視点からのアドバイスがありました。 また「女の子に物怖じするのは、何度も会話の機会を作っていけば絶対に直るよ」という自信をつけさせてくれるひと言も。
そこからは孤独感が強い時、内に溜め込むからいけなかったのだと思えるようになり、前半が嘘と思えるほど喋ることができました。
そうしてその日はRさんに感謝し、お店を後にしました。少し自信がついたのか、以前よりもエネルギーがアップした気がします。
ガールズバー店員と話したことから前向きになれて、結果僕は10社以上不採用を受けたものの、無事就職ができたのです。喜びを伝えたいのとガールズバーに行きたいことから、再度同じお店を訪れました。
Rさんがタイミング良くまた出勤していたので「ラッキー!今日は来て正解だった」と伝えたら「あれ?以前と見違えるくらい元気だよね(笑)」と、変わった僕に驚いている様子。
初めての就職が叶ったことを告げ、祝杯ムードでカウンターに居た他のキャストさんまでおめでとうと言ってくれました。ところで、ガールズバーはビールやチューハイが飲み放題なのも嬉しいポイントですね。
さらにカラオケもあるわけで、ガールズバー2回目になる僕はバラード曲を2曲歌わせてもらいました。仲の良い友人の前でしか歌えなかったのに、シャイな性格も少しずつ直せているような感じ。僕は自分を許容してもらい、さらに価値のあるアドバイスまでもらえました。
また、話慣れるという面でも鍛錬できたので、こんなにもコストパフォーマンスに優れる場なんてありません。そして今回は延長もしたのですが、2時間いて1万円もしなかった。
だからガールズバーはもう、僕の趣味の一環として自分がおじさんになるまで通おうと思っています。