できるなら歳を取っても通い続けたいガールズバー
H.N/オフパイドトラップ
俺は人手不足の業界でも抜きん出た、老人ホームで激務をこなす日々を送っている。人の想像する以上に大変だし、利用者さんに罵声を浴びせられることも暴力を振るわれることもあり(珍しい事ではない)、ストレスになることも多い。
ぶっちゃけ辞めたくなる時もあるが、利用者さんたちと接して彼らの助けとなり、日々感謝されているのは素直に嬉しい。先輩の職員にも恵まれており愚痴である程度発散もできる。
ちなみに業務に携わってからは4年目に入るのだが、仕事の大変さに負けてばかりで、プライベートの充実感が足りていないことに気が付いた。
介護職は女性も居るため出会いがないわけではないが、皆が皆疲弊した表情をしていて、各々出会いなんて考えて良そうにない。あるいは俺よりずっと年上の既婚者たちばかりなので対象外。
そんな折、仕事終わりで一緒になった先輩とご飯に行くことになり、その日は思い切り飲むことに。
飲んで食べて、仕事の話をしていたときに先輩が「夜の店に飲みに行ったことはある?」と聞いてきた。「俺はラウンジに付き添いで行ったことがありますが、そのほかはないですね」と返すと、先輩はガールズバーについて教えてくれた。
ガールズバーは行った事が無かったのだが、先輩の話を聞けば聞くほど興味がわく。客層も、20代からアラサーまでの年齢層で構成されているようで、30に差し掛かっている俺でも問題がないなと感じた。
そうなれば、居ても立っても居られず、その場で一緒に行ってほしいというと先輩は快くOKしてくれたので早速いいところはないかとリサーチを開始。
検索していると、派手なところやシンプルなBAR風の店など、色々と出てきた。ネオンが目立つところはちょっとパリピっぽいしと、引き続き探していたらセンス抜群のガールズバーを発見。
白を基調に濃淡のブルーが映える店内で、いやらしさが皆無。勝手にさっきのような派手な内観の店ばかりだと偏見を持っていたので、そんな店もあるのかと感心した。
ということで、早速先輩と仕事終わりに飲みに行けそうな日に予約をして22時に来店。
1セットが40分、60分の2パターンあったが、ショートタイムだとすぐ時間が来そうなので迷わず60分を選ぶ俺たち。60分でも3,000円で、意外なほどの低価格帯に驚いたものだ。
僕に付いてくれた子は、24歳・ショートヘアでブロンドカラーのNちゃん。事前にブログ記事を見ていたので「あ、日記見ましたよ」というと「え?チェックしてくれていたんだ~ありがとう!」と、物腰が柔らかなで明るい感じ。
ガールズバーの女の子達は日記ブログを書いていることが多くて、見ていたら話題が1つ出来上がるので、慎重な僕の性格が功を奏したな、とこの瞬間は素直に思った。
一方、先輩は18歳の子が付いていて随分と若いなあと感じたが、接客が丁寧で洗練されていると感心する。
また、先輩は気配りも上手なので、僕に付いてくれたNちゃんが席を外した後、僕が孤立しないよう18歳の子と会話を交えてグループに入れてくれるので、そのコミュニケーション能力は見習わないといけないなと思うばかり。
なお、俺は仕事疲れで疲労具合が顔の表情に出ていたようだが、Nちゃんが戻ってきたときに「疲れが溜まってる?大丈夫?」と心配してくれたのが嬉しかった。
そんな彼女はお金を貯めて、どうやら看護師の資格を取ろうと考えていたみたいで、介護と共通する部分があって先輩たちよりもトークは盛り上がる。
そして一服をしながらリラックスしていると「私たちも何かドリンクを飲みたいな」という言葉が。2人だと2千円以上はするのかなと頭をよぎったが、どうやらお願いされたドリンクは1杯が500円のようで思っていたよりも安く、「それくらいなら問題ないよ」と俺が言おうとする前に、すかさず先輩がOKを出してしまった。
そこはさすが先輩、慣れてるしアクションが早いと脱帽。何だか負けた気分になったので今度は先に返事をしてみたい(笑)
お酒も入り彼女たちも気持ちよくなってきたようで、酒場で話すような最高の雰囲気の中、セットの終了時間が到来。ただ、延長も安かったのと楽しさも相まって、声掛けされたときは即座に了承した。
延長中でも会話の弾みは衰えることがなく、良い雰囲気の中時間が早々と過ぎていく。
そうして店を出るわけだが玄関の先まで見送りに来てくれて「次はカラオケも楽しもうね」と言ってくれたので、また来る楽しみが増えたような気がする。
帰りに、「な?俺が言ったように面白かっただろう?」と先輩が言いうので、「アラサー近くまでガールズバーを知らなかったのが勿体なかったっすね」と答えれば、「じゃぁ来月もまた行こうか?」と言うので、こちらも即首を縦に振り、すぐに再訪が決まった。
やはり楽しみがあるとそれだけで気分が上がるのだろうか、いつも仕事中に覚える苦痛も「俺にはガールズバーがある」と思えば多少楽になった(笑)ガールズバー様様だ。
出来ればおっさんになっても通い続けたいなぁ。