フリーターでも人生が楽しくなる、桃源郷のガールズバー
H.N/イージーライダー
社会不適合者という言葉は、俺にこそマッチしているのかもしれない。そう思う俺は35歳になるにもかかわらず、未だにフリーター生活だ。となると、周囲は当然ながら小馬鹿にしてくる。
「あなたは正社員にもならず、いつまでふらついているの」という母。職場では「君はそろそろ就職したほうがいいのではないか?」という哀れみの声など様々だ。
しかし俺は実は人生を謳歌している。
哀れだと同情する声はどうでも良く、心の中では「サラリーマンでがんじがらめになっているお前たちよりは楽しんでいるよ」と小気味よく笑っている。
実際にフリーターでも社会保険には加入ができるし、ボーナスがないだけで子どもさえ作らなければ存分に人生は楽しめる。
そんな俺は、同じフリーターや病んでいる子などではあるが、彼女もできる。とはいえ、安定しない仕事だからできない時は苦渋の女っ気がない生活を強いられるのは否定できない。
そういう時に、俺を癒せるのは夜の世界で活躍する女性たちにほかならない。
ちなみに俺は外食を一切せず、完全に自炊生活をしている。たとえばスーパーでは惣菜を買わず、食材から作るレシピを熟知しており安上がりの生活が十分に可能だ。
加えて酒は発泡酒に限定しているので、支出はかなり少ない。そこで夜の世界に投資し、キックバック快楽を得ているのだ。
月に1回ヘルス、ソープへ行き、残りは2回ほどガールズバーへ行っている。
そんなにフリーターで遊べるもの?と思うかもしれないが、俺は実家で家賃がまずかからない。だからソープで18,000円、ヘルスで12,000円、つまり3万しか風俗で使わないからガールズバーを月に2回楽しめている。
だから、毎週夜の世界で快楽を得られるわけだが、一番好きなのはガールズバーだから今週も俺は店を訪ねた。いま俺がハマっているのは、バイキングとダーツが楽しめるガールズバー。
バイキングができるガールズバーは恐らく、市内ではここしかないだろうな。バイキングは品質はたいしたことがないが、肉料理もつまめるのでありがたい。
それでいて、料金は4,000円でおつりがくるし、50分も楽しめるのだから。やや大衆酒場的なところはあるが、俺のオアシスだ。
「また来てくれたんだ!ありがとうー!」とNちゃんが俺に挨拶をしてくれた。原則コスプレはないのだが、私服の彼女は白のブラウス姿で胸の谷間を露出しているのが目の保養極まりない。
これはひっそりと楽しんで欲しい内密な話なのだが、ガールズバーの女の子はお客からガールズドリンクというメニューによる酒を飲むことがある。
となると、どうなるか!?酒が入っているために、俺がたとえば胸元を凝視していても、女の子はほろ酔い気分になっているのでまったく嫌な反応をされないのだ。
目が幸せだなあと非現実を堪能していたが、今回はNちゃんとダーツを楽しんだ。ダーツが刺さるような本格派なものではないが、デジタル仕様でエフェクト音が出るなど令和風にしていてゲーム自体が面白い。
ただ、ガールズバーの子はダーツに強く、まあ理由としては客と日々勝負をしているから俺が負けることもしばしばある。今回は負けてしまったが、一戦一戦で悔しがったり勝ち誇ったりする女の子の表情を見るのが好きなのだ。
ダーツを堪能した後、席に再度座りガールズドリンクを一杯差し上げた。1,000円あれば入れてあげられるのだが、会計はそれでも5,000円程度なのでまったく問題がない。
ご機嫌になったNちゃんは「◯◯さん(俺の名前)にもっと付くようにするね」と、サービス精神旺盛になる。ガールズバーは入れ替わりで違う子が付くのだけど、この日はもう付きっきりというほどだった。
キャバクラだと指名すると真隣に付いてもらえるようだが、ガールズバーは予算が半分かつ時間もたっぷりなのがとにかく良い。
あと、俺はカラオケも好きなのだが、女の子とのデュエットもできるからまるでバーチャル恋人気分も堪能できる。
Nちゃんとは今回もデュエットをし、夢見心地の世界を味わわせてもらったあとに外へ出た。出る前に「また来てくれるのを待ってるね」と情を込めて言ってくれた。
リアルでは恋人同士になるのは難しい、それはわかっている。だけど、束の間の多幸感を味わうなら最高の現実逃避となるのがガールズバーだと思っている。何度か行っているうちに、人生すら楽しくなることをみんなにもわかってもらえたら幸いだ。