ガールズバーは最高ばい
H.N/モールス珍号
俺は、女っ気も全くない酒の卸業者という野郎ばかりの仕事をやっとる。色んな出先に酒を配達する日々やけど、車出勤で職場も酒が飲めるわけじゃないけえ、意外とストレスは溜まる。
そんな俺の唯一の癒しは、可愛い女の子がいる配達先に出向くことやった。カラオケ店舗にも酒をたっぷり持っていくけど、そのときは女性スタッフのルックスの高さにテンションもやっぱ上がる。
それでね、俺が先輩と休憩中に話していた時、とある話を聞いて興味をそそられたものがあったんよ。
「お前、ガールズバーには行かんの?」っていう言葉。
「ガールズバー?なんすかそれは?」と、初めて聞いた言葉が気になって、立て続けに先輩に質問した。
どうやら、スタッフ全員が10代・20代前半の子ばっかりやと。
「え?じゃあスナックのようなおばちゃんは居ないってことですか」と聞けば「そうそう、みんな全員若いのばっかりばい」とのこと。
さらに、カラオケも自由に歌えると聞いて、これはもう向かわんといかんたいって思い、行きたい感情をたかぶらせていった。
あと「初心者は案内所の兄ちゃんにどの店が良いか聞くといいんよ」と言ってはくれたものの、案内所ってヤクザが出てくるんじゃないかって、俺は意外とチキンヤローだから、先輩に相談してみることに。
「先輩、お願いします。俺と一緒にガールズバーに行ってくれませんか?頼んます」とプライドを捨てて懇願したった。
「しょうがねえ奴やのう、わかったわ」と、何とか承諾を得て、福岡県最大の繁盛地と評価される、中洲へ…。
街行けば、ふわふわのショールを肩に巻いたイイ女や、ボディコン姿の女など、服がネオンの輝き並みに光っているみたいやった。
これが、男と女の欲の渦巻く、全国でも有名な中洲かぁと俺もテンションアップ。ちなみに中洲からは電車で30分の、離れたところの在住やけん、完全に初のエリアやったな。
先輩は慣れた歩きで、颯爽と人混みをかき分けて案内所に向かいよった。んで、案内所に着いてまず驚いたのは人の多さやったね。
長方形のパネルがあって、そこに夜の店の可愛い子、在籍の女の子の写真が並んどる。案内所の兄さんは意外と若くて、30代前半だったな。
先輩が「ラウンジやなくて、おすすめのガールズバーない?」と慣れた話し方で「初めての連れがおるけん、ベテランさんがおる店を頼むばい」って言ってくれて、嬉しかった。
雑居ビルの1Fに向かったら「え?ここ人が住んでない?」というくらい店らしさは出してなかった。けど、ドアを開けたらおしゃれなバー風の光景が見えたな。店内は結構広くて、L字型のでっかいカウンターがあったね。
2人の女の子がおって、ドキドキしながら席についた。格好は、女子大生が普段着で接客するような超がつくほどスタンダードな感じ。キャバのように、1人1人につきっきりとか、指名制じゃない。
俺たちが行った店だと、俺と先輩2人に可愛い子がついてくれた。名刺とかはなかったけん、名前は覚えてないけどとにかく楽しい。
俺の愚痴も聞いてくれたし、先輩は先輩で酒と女を楽しんでいるようで安心した。
で、ちょっと離れた1人で来とった客がカラオケを入れて、バラードの曲を入れていたな。俺にはようわからんかったけど、たぶん昭和の懐メロで間違いない。
終わると拍手喝采でガールズバーの子に「お兄さんも1曲どう?」と言われて最新のヒップホップを歌ってしまった。
歌った後、何で他のお兄さんがバラード曲を入れていたかがようわかったな。ロックとかヒップホップ系は、ガールズバーには合わんね。
でも、拍手してくれて「上手やん」って言ってくれて本当に嬉しかったな。客のノリもイイし、一期一会の間柄なのに、みんな波長がモロに合っとる。
しかも、90分で4,000円くらいやった。あ、500円で女の子のドリンクを頼まれたけど、1時間半で4,500円ならOK!と思ってリクエストに応えたな。
俺はガールズバー初心者やけど、不慣れな俺でもここはケチったらいかんばいって思った。
のめり込んだ俺だけど、2回目は1人でガールズバー行ったよ。だってさ、4,000円くらいで酒も1本やなくて、2本3本と飲み放題。そして、可愛い子と話せて歌い放題。
俺、正直この若造な年齢でガールズバーを知れたのは本当に良かった。もちろん、先輩には大感謝よ。
結果「お前、今度はラウンジに付き合え」って言われて「先輩の行くところなら、どこまでも地の果てでも!」と師を崇拝するようになった。
あんたらも、ガールズバーは行かんと後悔するよ!