男友達とガールズバーに行くのが楽しすぎる
H.N/定吉
高校の時に友達になり、大学時代も仲の良かった親友がいます。クラスメイトで大学は別々でしたが、週末にはしょっちゅう遊びに出ていたものです。お互い二十歳になってからは毎週のように居酒屋で飲み、気が合うため話が尽きません。またバイクの趣味も同じだったわけですが、社会人になり連絡頻度が明らかに下がってきました。通常の友達ならば気にはしないものの、親友だからこそ気になるものです。
それでも久々に会えた際に、生活に変化がないかを聞きました。簡潔に言うと片思いが実り、付き合っていた彼女の二股が発覚して結果として振られるという悲劇に見舞われていたようです。今はなんとか精神状態も安定し、仕事にも支障がなくなってきた模様。一安心し、再度飲みに行くようになったとある夜、女性との付き合い方や遊び方について話す事がありました。
テーマに挙がったのは、現代における恋愛のメリットは如何ほどなのかというもの。親友は「俺、しばらく恋愛はいいかな……」と言います。やがて話が尽きかけた頃、スナックやガールズバーを僕は話題に挙げました。
商売としてやっているわけだから、こちらが深入りをしなくて済む安全な遊びではないかと思ったのです。また1対1のボックスシートで話すわけではないという点が、彼にとって良いのではと期待しました。
もちろん僕も現在彼女がいないので、人気と評判のガールズバーが気になっていました。目的は2つ、親友の傷を癒し違う環境に触れさせ元カノを忘れさせること。もう1つは、僕が注目して心を惹かれるガールズバーのクオリティを確かめることです。
休みはお互い土日なので、金曜日の夜に早速僕らは向かうことにしました。なお、キャッチから来店するのは嫌だったので、ネットで調べてから。
そうして目星をつけた、高級感がなく少しカジュアルな雰囲気のガールズバーへ入りました。出てきた子たちは20代前半から中盤くらいで、1人女性店長っぽい人が居ましたね。年代もマッチしているのと、ゴージャスな雰囲気もないため意外とすぐになじんでリラックスできます。
また金曜日の夜だったので、少し待ったあとに2人のお姉さんがカウンター越しについてくれました。評価したのは、こちらから話しかけずともお姉さんからどんどん喋ってきてくれるところでしょうか。
そこで、聞かれるかなと思っていた「今日はどんなきっかけで来てくれたのですか?」とAちゃん(21歳)、「私も聞きたいです」とBちゃん(23歳)からも重ねて質問がありました。
「えっと……」と語ろうとしたら親友が回答してくれました。二股されてから恋愛が少し嫌になり、気軽に異性と話せる店で古傷を癒したかったと、堂々と言ったのです。すると親友についたBちゃんの方が「気持ちがわかる!私なんてホストに入れあげて、お兄さんよりもっと損しちゃったよ(笑)」と、辛い過去を打ち明けたのです。すっかり意気投合しており、仲良く話している二人。
僕は人の話を聞くのが大好きなのと、グイグイしゃべらないタイプなので、そんな光景が微笑ましく思えます。聞き入っているとAちゃんから「お兄さんも、喋ろう」と、明るく声掛けしてくれました。
「いやあ、ホストは怖いねえ、だけどカリスマ的人気のキャバ嬢さんも結構怖いかも」と、やはり話は夜のお店の話ばかりです。ただ、彼女たちもキャバはやらないようで、今度は僕がなぜやらないのかをAちゃんに質問してみました。
まずBちゃんがホストに夢中になっていた時期の苦労話を聞いたからというのと、やはり収入額が上がるとタガが外れやすくなるからそれが怖いのだとか。
「意外としっかりしているねえ」と感想を言うと「意外とは失礼だよ(笑)」と返されちゃいました。あ……と思いましたが、ガールズバーはつまりトークスキルも磨けるのではと良い所を発見しました。そうして親友についたBちゃんのほうがここで一旦離れます。
僕らはガールズバーの雰囲気を十分に楽しんで満足していたので、ドリンクを入れてあげることにしました。「二人ともいいよ」と言い、Bちゃんが戻ってきた時に大きくお礼をされましたね。
あと、来店前はどれだけグイグイとオーダーリクエストを受けるか気になっていましたが、全然なかった点もグッド。もちろん、初なので他店がどうかまでは知りません。
でも帰り道で親友に「居酒屋より良くない?もうガールズバーの回数増やそうぜ」と言ったところ「当然だ」とバッチリな反応が。僕らはお互い、しばらく結婚を視野に入れることなく独身生活を楽しむことになるでしょうね。