SNS依存男がガールズバー見参
H.N/時人
職場で言われて困ることは、「休みの日は何しているの?」という野暮な質問。「寝て1日が終わります」と言った僕に「リア友が全然いないわけだね」といった指摘あり。
僕はネット依存症で、人との繋がりを極力もたないようにしています。ネット依存は、SNSが台頭する遥か前、某巨大掲示板の利用から。
招待制のSNSから始め、今では有名なのを利用していますが、ネットではフォロワーという仲間と繋がることで平静を保てています。平静というのはストレスからの退避というやつで、フォロワーならば理解される、受け入れてもらえるという安堵の気持ちのまま日常を送れるのです。
しかし、1点だけ難点があります。
それは、心のスキマを深く埋められない点でしょうか。フォロワー関係はあくまでも「バーチャル」。とどのつまり、会って寂しさを埋められることなんて幻想でしかありません。コミュニティ的なグループに入り、オフ会に参加というのも一時期には検討しました。でも、趣味の1人旅のバイクツーリングは、気になるコミュニティがあっても、魅力的なのが関西だったり九州だったり。
女性と会うに関しては相当たる努力も必要だと感じさせられました。また一期一会過ぎるのも切なくなってしまうもの。だとすると、がらんどうになった僕の心はどうやって埋めればいいのかと自問自答の日々が続きます。なお、SNSにはタイムラインという、フォロワーやフォロー外の人でもおすすめの投稿などが出てくるのが特徴的。
仕事終わりに飲んでいて、ふと僕の目に留まったのはキュートな女の子がいるお店の投稿。男性フォロワーさんが、可愛い女の子と一緒に飲む時間を楽しんでいる投稿でした。コンセプトカフェ、コンカフェという店舗のようで、どこかメイド喫茶と似ている印象をその投稿から感じます。
調べてみましたが、店舗数は少なめで関東圏だとやはり東京に多くありました。僕のエリアにはないの?と思い再び似たお店を調べていると、ガールズバーというところが類似していて、興味津々。さらに店舗は少なくもないため、早速行ってみることにします。
キャッチをあてに向かいたくなかったので、ネットで調べたガールズバーにしました。コスプレをしたお店も目に留まりましたが、あまりにきらびやかだと臆してしまいそうなので、ちょっとしたおしゃれ空間が印象的なところに決定。
扉を開き入ってみるとやはり最初は緊張が走ります。すぐにカウンターにいた女の子ふたりが僕に元気よく挨拶してくれました。またお1人さんということを察してくれたのが好印象です。「え?1人……?」みたいな反応だと切ないですからね。
キャストさんの1人は金髪ロングで、白のブラウスとスカートの女の子。もう1人は僕についてくれた、黒のワンピースが可愛い女の子のアイさんです。年齢を夜のお仕事をしている女性に聞くのは失礼とネットで見ていたので、歳を聞くことはしませんでした。しかし僕が年齢を聞かれ答えたら、アイさんもすぐに自分から23歳と言ってくれてまたまた良い印象。
そしてビールをはじめとしてブランデーなども飲み放題だったので、素直にお酒の力を借りて恥ずかしさとためらいを拭い去ります。この日は平日、僕は週末以外が休みなのでアイさんにラッキーだと言われました。まれに週末だと満席になることもあるらしく、客数が少なめで今回はほぼ付きっきりなのだとか。
ほろ酔い気分になったところで、「今日はどうしてウチのお店を選んでくれたの?」と聞かれました。自身がSNS依存症レベルなことを話し、結局は寂しさを拭い去れないから来たという率直な答えです。「今オーナーがいないから言えるけれど、私も、SNSだと裏アカを使って愚痴っていることがあるよ」と、他のお客が去ったあとに教えてくれたのです。
わずかにカウンター席にはお客が残っていたものの、そのお客は常連でカラオケに興じていたためこっそり教えてくれた感じでしょうか。お酒が入ると豹変する客がいて、カウンター越しだから身体を触られるセクハラはないものの、言葉のセクハラがあり四苦八苦しているそう。
しかもお客が少なくなったり、いなくなった時にそういう地雷客が出るようで、僕はたくさん心寂しさを拭ってもらったお礼に、とことん話を聞いてあげました。またドリンクを入れられるのも知っていたので、もう1人の白コーデの金髪の女の子にもガールズドリンクを。
やや気前が良い程度ですが、会計は7,000円もしなかったことを記憶しています。もちろん僕はリピート確定で、これからも寂しさをSNSからリアルへ、ガールズバーへと向けて行きたいと思いました。